Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は医学的、生物学的に極めて重要な細胞膜受容体群ですが、まだその一部しか医薬品の標的になっていません。優れたアッセイ系が存在しないことがこれまでGPCR創薬の障害になっていました。特にオーファンGPCRと呼ばれる約100種類の受容体は、治療標的として有望でありながら機能解明の遅れのため新薬開発から取り残されています。
そこで株式会社タンソーバイオサイエンスはGPCR創薬の壁を打破し画期的なGPCR新薬の開発を行うため、全GPCRの活性を好感度に測定できる画期的技術を開発しました。この鋭敏かつ汎用的な新開発試験法(国際特許出願中、公開番号 WO/2020/026979)を用い、創薬事業と創薬支援事業に取り組んでいます。
創薬事業
全オーファンGPCR創薬
オーファンGPCRはヒトに約100種類存在し、未開拓の治療標的として注目を集めています。しかし、共役するGタンパク質のサブタイプが特定されていないことが、これまでオーファンGPCR創薬の進展を阻んでいました。
当社独自のGPCR活性測定法はGタンパク質のサブタイプを問わず同一試験フォーマットでGPCR活性を高感度に評価することを可能にしました。この強みを活かし、全オーファンGPCRを標的にした創薬プロジェクトを進めています。第1段階として、全オーファンGPCR 100種に対する作動薬スクリーニングを実施中です。疾患関連性が高い受容体から優先的に評価していきます。
これまでにGPR39, GPR55, GPR65, GPR68, GPR132, P2RY10の6受容体の作動薬を同定し、濃度依存的な活性を確認しました(下図)。
スクリーニング完了後、標的受容体の臨床的価値、ヒット化合物特性の両面からプロジェクトを評価し、最適な優先順位で自社パイプラインを創成します。同定した作動薬は遮断薬等他モードの創薬にも活用します。
創薬支援事業
各種GPCR活性試験を受託しています。タンソーバイオサイエンス独自の革新的 GPCR 活性測定技術を用い、 化合物のGPCR 活性を高感度・網羅的に評価します。
取り扱い試験
アロステリックモジュレーター活性評価、ヒト・マウス以外の種のGPCR評価など、ここに紹介していない試験についても柔軟に対応します。お気軽にお問い合わせください。
大規模網羅的パネル
業界最大規模のパネルアッセイ。最大でヒト294種、マウス250種のGPCRを評価します。リガンド既知GPCRはアゴニストモード又はアンタゴニストモードで、オーファンGPCRはアゴニストモードで提供。受容体リストなど詳しくは特集ページへ。
実施例
Safety Panel
一般的な副作用の責任受容体として知られるGPCRをアゴニストモードおよびアンタゴニストモードで横断的に評価します。代表的な24受容体を揃えたGPCR Safety Panel、より厳密な評価のためSafety Panel受容体と同じファミリーに属する55受容体を網羅したGPCR Safety Panel Premiumがあります。詳しくはこちら。
FlexPanel48
特定のGPCR 48種にフォーカスした小規模パネルです。受容体の選択は自由自在。疾患領域パネルも用意しています。各パネルの受容体リストなど詳しくは特集ページへ。
カスタムパネル
ヒトとマウスの550以上のGPCRから任意の48受容体を自在に選択できます。
疾患領域パネル
13の疾患領域に関連性が高いGPCR 48種のパネル。更にカスタマイズ可能。
- 免疫・感染症
- がん
- 血液
- 内分泌・代謝
- 精神疾患
- 神経
- 眼科
- 循環器
- 呼吸器
- 消化器
- 皮膚
- 筋骨格系
- 泌尿器・生殖
実施例
FlexPanel48 内分泌・代謝パネルを用いた糖尿病開発薬TAK-875の評価。FFAR1選択的な活性が認められた。
濃度依存性
様々なアッセイモード(作動薬、逆作動薬、遮断薬、PAM、NAM)、濃度数での解析が可能です。
実施例
複数濃度のTAK-875のFFAR1に対する反応を評価し、濃度依存的な活性を確認した。
種間差評価
ヒト、マウスなど複数の種のGPCRに対する化合物活性を比較評価します。
実施例
FFR1に対するWKYMVMのアゴニスト活性に明らかな種差を認めない一方、fMLPの活性はヒト>>マウスであること、C5AR1の代表的なアゴニストとアンタゴニストの活性に顕著な種差があることが示されました。
プロトン感受性
プロトン感受性GPCRの解析を行います。
実施例
お問い合わせ
試験委託、見積依頼、共同研究のご提案、その他お問い合わせを賜ります。まずはアッセイ系について説明を受けたい、どのような試験デザインが可能か検討したい、といったご要望に応え、電話やウェブ会議での無料相談も行っています。以下のフォームかメールにてご連絡下さい。
試験委託の流れ
見積り依頼
ご希望、目的に適した試験と価格をご提案します。
発注
試験受委託契約を締結して頂きます。秘密保持契約も可能です。
化合物送付
当社宛に化合物をお送り頂きます。
報告書受領
試験開始から通常3週間後に結果報告書と生データを電子メールでお送りします。